脱毛症の再発率って?数字の意味を理解しよう

「脱毛症は再発しやすい」ネット上でそんな情報よく見ます。実際に「再発した」ってブログよく見ます。

おそらくそれは事実なんだと思います。私も発症から8ヵ月の頃、せっかく生えた耳の上あたりの髪の毛が抜け始めたとき「脱毛症は再発しやすいからね」とお医者さんに言われました。

でも、ちょっと冷静に考えてみてください



以前、遺伝子検査を受けたとき、結果の詳細に “日本人の円形脱毛症患者は推定4万2千人” と書いてありました。この4万2千人、厚生労働省が実施した平成26年度の患者調査で得られた値らしいです。遺伝子検査の記事を見逃した方はこちら 遺伝子検査の結果が当たる

ここで、ちょっと話を変えますが、

私は、学生時代は研究室の教授に現在は上司に実験結果を見せると、「n数が足りない」ってよく怒られます。理系の方はご存知かと思いますが、このn数は実験した数のことです。

例えば、2回実験して「出来た」「出来た」となれば、成功率は100%(n=2)です。

でも、5回実験して「出来た」「出来た」「出来た」「出来ない」「出来た」となれば成功率は80%(n=5)です。

でもでも、100回実験してみたら「出来た」「出来た」・・・・・・・「出来ない」「出来ない」「出来ない」「出来ない」「出来ない」となるかもしれません。たまたま始めのほうが「出来た」が多かっただけで、たくさん実験してみたら全体の成功率は30%かもしれません。

またまた、話を変えますが、

AさんとBさんがまったく同じ方法で縦1m×横1mのシートを作製したとします。

Aさんが100回作製すると、100回「出来た」でした。

でもBさんが100回作製してみると、70回「出来た」でした。

Aさんの成功率は100%、Bさんの成功率は70%です。なぜ、こんなにも成功率に違いがあるのでしょうか。

それは、「出来た」の基準が違うからです。

Aさんは、シート全体をチェックすると時間がかかってしまうので、シートの右端の50cm×50cmをチェックして判断しました。でもBさんは1m×1m、シート全体をチェックして判断しました。

上記した例はあまりにも極端ですが、でも、こういう方法で算出しましたよ、って明記してしまえば、成功率100%(n=2)も嘘ではないし、Aさんの成功率100%も嘘ではないのです。

で、何が言いたかったのかというと、数字って解釈によってどうにでもなるんだよ、ってこと。

「再発しやすい」って何%以上を再発しやすいって言っているのでしょうか。具体的な再発率も見かけたことがありますが、その再発率ってどうやって出したものなのでしょうか。例えば、重症の脱毛症患者を治療できる病院でみた再発率と、町のかかりつけ医みたいな病院でみた再発率は違うと思いませんか。



患者数4万2千人の話に戻りますが、厚生労働省の患者数の調査の方法をみると、調査期間や調査対象病院が絞られていて、真値に近づけるために何らかの係数をかけて計算しているようでした。どの病気に対しても同じ算出方法をとっているのか、係数はどうやって決まったのか、というのは私が見たところでわからないと思うので詳しく確認していませんが、少なくとも、全ての病院を対象に調査して得られた数字ではないってこと。つまり、あくまでも推測値であるということ。しかも、円形脱毛症の場合、発症したことにすら気づかず病院に行っていないパターンも多いと考えられるので、正確な患者数を算出するのってすごく難しいはずです。

例えば、お母さんが昔小さい円形脱毛ができてすぐに治った経験があるとしたら、その子供に小さい円形脱毛ができても「大丈夫、気にしなければ治るから」って病院に行かないパターンもあるはず。

仕事をしている男性が円形脱毛を発見しても「忙しくて病院なんか行っている暇ない!」っていっているうちに治っているパターンだってあるはず。

それに、ネット上の「みんななかなか治ってないじゃないかー」「再発しているじゃないかー」というのも、患者数推定4万2千人のうちの数パーセントの話。私もブログを書いているうちの一人ですが、頭全体の髪の毛が抜けてとても辛い思いをしたからであって、これが一つの円形脱毛だったら書いていなかったと思います。「治った!」「すぐ治ったぞ」「数センチで治まったぞ」なんて情報がないのは、おそらく、ちょっとハゲてすぐ治った人が書いていないだけ。書くに値しないほどの出来事だっただけ。

そんなわけで、再発率って正確に把握するのって難しいと思いませんか?患者数でさえ推定なんですよ。しかも、「再発したー!助けて―!」って病院に行くのは脱毛症への意識高い系であって、例えば私みたいにたった一つの小さいハゲから重症になった経験がある人は意識高い系であって、小指の先っぽ程度のハゲができても病院に直行するタイプの人、でも、ちょっとハゲてすぐ治った経験のある人は病院に行かないって人もいると思います。そりゃデータ上の再発率上がりますよね。

なんか、再発率に踊らされて不安になるのバカバカしいと思ってきませんか?数字マジックにハマるなら、どうせだったら良い方にハマってください。

こんな話をしていますが、私も未だに再発の恐怖に怯えています。発症したてのときなんて、もっともっと怯えていました。治療を続けていく自信を何度なくしたことか…。でも、治ってある程度の時間を経て、冷静に考えたら『そんな過剰に怯える必要ないんじゃないかな』と思いました。『数字の意味を考えないで一喜一憂するなどリケジョらしくないではないかー!』と今となっては思いますが、抜けているときは、冷静に考えることができなかった…。

初めて発症した方は今ものすごく不安かと思います。でも過剰に不安にならずに、『どうせ治らないんじゃないか』なんて思わずに、諦めないで治療を続けてください。

私も再発の恐怖に適度に怯えながら、再発しないよう生活習慣に気を付けます。